日焼け止めの基本知識
紫外線の種類
紫外線は、以下の3種類の波長から構成されています。
そのうち2種類が地表まで届き、肌に直接ダメージを与えています。
①紫外線A波(UV-A波)
肌の奥の真皮層まで浸透し、ダメージを与える力があります。
真皮層でコラーゲンやエラスチンを産生する繊維芽細胞にダメージを与え、しわやたるみといった肌老化の原因となります。
衣服やガラス、雲を通り抜けて肌に降り注ぐので、室内にいる時や、曇りの日、冬場なども注意が必要です。
②紫外線B波(UV-B波)
波長が短く、毒性が高い紫外線です。
主に肌表面の表皮にダメージを与え、炎症や火傷など、いわゆる「日焼け」の原因となります。
メラニン色素を増やしてシミ、そばかすや色素沈着、皮膚がんの原因をつくります。
A波と違って、衣服や日傘などで防ぐことができます。
③紫外線C波(UV-C波)
B波より毒性が高い紫外線ですが、オゾン層によってブロックされ、現状では地表まで届いていません。
PA、SPF値とは?
日焼け止めのパッケージを見ると、まず目に入るのがPAやSPFといった表示です。
「高ければ高いほどいいのでは?」というあやふやな知識をおさらいしておきましょう!
PA値
PAはUV-A波に対してどれくらいの効果があるかを+の数で示しています。
レベルは+~++++の4段階で、数が多いほど効果が高いことを示します。
SPF値
SPFはUV-B波に対する効果を示し、現在は10~50+まであります。
具体的には「約20分前後で日焼けが開始する素肌状態に比べ、その時間を何倍に伸ばせるか」を表します。
例えばSPF40の場合は、20分×40倍=800分まで、日焼けが開始するのを遅らせることができるといえます。
日焼け止めが汗で落ちてしまったり、塗り方が甘かったりすると、数値通りの効果を得ることができません。
日焼け止めに副作用はある?
日焼け止めには大きな副作用と呼べるものはありません。
しかし紫外線カット効果が強いものは、肌に与える負担が大きい可能性があります。
紫外線吸収剤の影響
紫外線吸収剤は、紫外線が肌の内部に侵入するのを防ぐ効果があります。
無色透明なので、肌に塗っても白浮きしにくく、伸びがいいのが特徴です。
高い紫外線カット効果と使いやすさを兼ね備えた日焼け止めは、紫外線吸収剤が使用されている可能性が高いでしょう。
肌への刺激が強く、また熱を吸収すると肌の酸化を招く危険があります。
肌に優しい日焼け止め
最近は、紫外線吸収剤フリーの日焼け止めや、オーガニック処方の日焼け止めなど、肌への負担を最小限に抑えた日焼け止めがたくさん登場しています。
こうした日焼け止めは、紫外線吸収剤の代わりに紫外線錯乱剤を使っています。
紫外線を反射させることで日焼けを防ぐ効果があり、化学物質でないので、肌への刺激が少ないといえます。
べたつきや白浮きが気になりやすいのが難点ですが、こうした使用感の悪さも年々改善されています。
日焼け止めの美容効果
これまでお伝えした通り、日焼け止めには紫外線から肌を守りながら、様々な美容効果をもたらす働きがあります。
シミ・そばかす防止
肌が紫外線を浴びると、炎症を防ぐために、メラノサイトでメラニン色素が生成され、肌表皮をおおいます。
紫外線を浴び続けると、メラニンが過剰に生成されてしまい、シミやそばかすの原因になります。
日焼け止めはこうした炎症から肌を守ることで、メラニンの生成を防ぐ効果があります。
しわ・たるみ防止
肌が紫外線を浴びると、肌の奥の真皮層まで浸透し、繊維芽細胞にダメージを与えます。
すると、肌のハリや弾力の元となるコラーゲンやエラスチンの産生が減ってしまい、しわやたるみの原因になります。
日焼け止めには、こうした肌内部へのダメージを防ぐ効果があります。
美白効果
顔用の日焼け止めには、美白効果を高める成分を配合した商品もあります。
ビタミンC誘導体や、トラネキサム酸といった美白成分のほか、セラミド、ヒアルロン酸、ハトムギエキスなどの保湿成分も、美白効果を高めるのに有効です。
下地効果
顔用の日焼け止めには、化粧下地の役割を兼ねた商品も数多くあります。
テカリやメイク崩れを防ぐパウダー入りや、毛穴やシミを目立ちにくくするものなど、メイクのノリやモチを高める効果があります。
日焼け止めの種類
日焼け止めには様々な種類があります。それぞれの特徴として、よい点・悪い点を知っておきましょう!
種類とメリット&デメリット
クリーム
- メリット
保湿力が高い
しっかりと塗れて落ちにくい
種類が豊富で、PA, SPF値が高いものも多い
- デメリット
固めのテクスチャで白浮きしやすい
クレンジングでしっかり落とす必要がある
油分が多く、べたつきや肌荒れが気になりやすい
ミルク
- メリット
保湿力が高い
しっかりと塗れるが、白浮きはしにくい
肌への負担が比較的少ない
- デメリット
油分が多くべたつきやすい
ローション
- メリット
伸びがよく肌なじみに優れる
簡単にクレンジングできる
肌への負担が少ない
- デメリット
SPF, PA値は低いものが多い
汗や摩擦で落ちやすく、こまめに塗り直す必要がある
ジェル
- メリット
伸びがよく肌なじみに優れる
白浮き、べたつきしにくく、日焼け止め特有の匂いがない
PA, SPF値が高いものも多い
- デメリット
汗や摩擦で落ちやすく、こまめに塗り直す必要がある
肌への負担が比較的大きい
塗り残しや塗りムラが発生しやすい
パウダー
- メリット
UVカット効果に加え、美肌効果に優れる
簡単に塗れ、液体タイプの日焼け止めと併用できる
肌への負担が少ない
- デメリット
全身の使用に向かない
こまめに塗り直す必要がある
スプレー
- メリット
手を汚さずに塗れる
手が届かない体の後ろ側にも塗りやすい
髪の毛のUVカットにも使える
- デメリット
塗り残しや塗りムラが発生しやすい
顔に直接スプレーできない
全身の使用に向かない
サプリ(飲むタイプ)
- メリット
肌に負担をかけず日焼けを防げる
効果を1日持続させられる
塗り残しや塗りムラの心配がない
- デメリット
塗るタイプに比べて割高なものが多い
体質に合わない可能性がある
効果的な日焼け止めの選び方
日焼け止めには様々な種類があり、商品数もたくさん。
ドラッグストアなどで大量の日焼け止めを前にして、どれを選べばいいか迷ってしまう人も多いのではないでしょうか?
自分に合った日焼け止めを、上手に選ぶためのコツをお伝えしたいと思います。
PA, SPF値に注目
日焼け止めを選ぶ基準で最も参考にしやすいのは、PA値やSPF値です。
目的に合わせて数値を選ぶことで、肌への余計な負担や、うっかり日焼けを防ぐことができます。
PA値の目安
- 日常生活レベル:PA+~++
- 屋外での軽い運動、レジャーレベル:PA++~+++
- 炎天下での運動、レジャーレベル:PA+++~++++
SPF値の目安
- 日常生活レベル:SPF15~30
- 屋外での軽い運動、レジャーレベル:SPF30~40
- 炎天下での運動、レジャーレベル:PA40~50+
季節に合わせて選ぶ
日焼け止めが最も活躍するのは、紫外線が強い夏場です。
しかし冒頭でもお伝えした通り、紫外線は衣服や雲、ガラスなどを通り抜ける性質があるので、夏以外も油断できません。
春・秋の日焼け止め
春は、日差しが弱くても紫外線量が多くなってくる季節。夏以上に注意が必要です!
夏に受けたダメージが蓄積した秋の肌も、日焼け止めでしっかりとUVケアすることをおすすめします。
一方、夏に比べて汗をかくことが少ないので、日焼け止めの落ちにくさはあまり重要視しなくていいでしょう。
肌馴染みがよく日常使いしやすい、ローションタイプやジェルタイプがおすすめです。
夏の日焼け止め
紫外線が強い夏は、PAやSPF値が高く、汗や摩擦で落ちにくいものを選びましょう。
しっかりと塗れて肌への密着性に優れた、クリームタイプやミルクタイプの日焼け止めがおすすめです。
液体タイプとパウダータイプを併用すれば、塗り直しもしやすく、しっかりUVカットできるでしょう。
レジャーや運動などで汗をたくさんかく時は、ウォータープルーフタイプのものがおすすめです。
冬の日焼け止め
冬は1年の中で一番紫外線量が少ない季節ですが、肌のために日焼け止めを使う事をおすすめします。
春や秋同様、軽い塗り心地のローションタイプやジェルタイプで十分効果が得られるでしょう。
なお雪山の紫外線量は、ビーチの紫外線量よりも多いと言われています。
ウィンタースポーツ時には、しっかりと日焼け対策をしましょう。
雪山での日焼け対策は、こちらも参考にしてみてください!
ライフスタイルに合わせて選ぶ
どんな日焼け止めが効果的かは、生活スタイルによって変わってきます。
室内で過ごす時間が多い
屋外に出る時間がごくわずかな人は、PA値、SPF値ともに低めの日焼け止めで十分でしょう。
なお、紫外線A波の影響は室内にいても受けてしまうので、A波を防ぐ効果があるPA値に注目するといいでしょう。
屋外で過ごす時間が多い
屋外で長時間過ごすことが多い人は、PA++以上、SPF30以上のものを選びましょう。
落ちにくいクリームタイプやミルクタイプ、ウォータープルーフのものを選び、液体タイプとパウダータイプを併用するのもおすすめです。
とにかく忙しい!
忙しい人は、1日1回飲むだけで日焼けを防げるサプリタイプがおすすめです。
サプリに抵抗がある人は、塗り直しの必要が少なく、クレンジングにそこまで手間がかからないミルクタイプを選びましょう。パウダータイプと併用するのもおすすめです。
肌を綺麗に見せてくれる、化粧下地効果がついたタイプも忙しい朝に大活躍するでしょう!
小さい子供がいる
小さいお子さんがいる人は、紫外線吸収剤フリーのものや、オーガニックの日焼け止めなど、肌に優しい処方のものを選びましょう。
サッと塗れるスプレータイプも使いやすくておすすめです。
赤ちゃんの日焼けは危険ですので、しっかり対策しましょう
肌質に合わせて選ぶ
乾燥肌
保湿効果が高いクリームタイプやミルクタイプを選びましょう。
敏感肌
紫外線吸収剤フリーのものや、オーガニックの日焼け止めなど、肌への刺激が少ないものを選びましょう。
混合肌、脂性肌
油分が多いクリームタイプを顔に使用するのは避け、日常使いではローションやジェルタイプで十分でしょう。油分を吸着する効果があるパウダータイプの使用もおすすめです。
紫外線が肌に与える影響は、私たちの想像以上に恐ろしいものです。
季節を問わず、日焼け止めを使ってケアするようにしましょう!
なお、どんなタイプの日焼け止めが良いかは、季節やライフスタイル、肌質によって変わります。それぞれの特徴を知って、自分に合った日焼け止めを見つけてください!