出産が無事終わり、退院したのはいいけれど、この後どのように過ごしたらよいのかと不安になることって多いのではないでしょうか?そんな方のために、退院後の産褥期の過ごし方について詳しくご紹介します。
産褥期とは
産後6週間の期間のことを言います。
産褥期の「褥」という字は布団という意味があります。
産後体が元に戻るまでには6週間ほどかかるため、それまでは横になって体を休め、回復を待つほうが良いという昔の人の思いが込められているのですね。
現在では寝たきりでいるよりも普通に生活をするほうが回復が早いといわれています。
しかし、ゆっくりと体を休ませる期間ということに変わりはないので、くれぐれも無理はしないようにしてくださいね。
産褥期の過ごし方
まずは産褥期の過ごし方を、時間の経過ごとにご紹介します。
お風呂や外出、家事などどのようなペースで進めたらよいのか参考にしてみてくださいね。
産後2週間は横になる時間を多くとる
赤ちゃんのお世話もまだままならない時期ですし、出産の疲れもまだまだ抜けない時期です。
赤ちゃんのお世話以外は、なるべく周囲の人におまかせして過ごすようにしましょう。
お風呂は、湯船には入らずシャワーで済ませるようにしてくださいね。
産後3~4週間で少しずつ生活のペースを戻す
赤ちゃんとの生活に慣れてきたら、少しずつ家事を始めてみましょう。
家の近所でしたら短時間であれば外出をしても大丈夫です。
しかしあまり無理をすると悪露が長引くこともあるため無理は禁物です。
産後5週間で普通の生活に
そろそろ普段の生活のペースに戻していきましょう。
ただし、慣れない育児でストレスが溜まっていたり寝不足になっていたりすることもあるので、家事などは休みながら行うようにしてくださいね。
お風呂はこのころから湯船に入ることができます。
産後6週間で元通りに
このころになると、すっかり体が元通りになることが多いです。
悪露もほとんどの場合はおさまります。
外出やスポーツなども少しずつ始めても大丈夫です。
産褥期、ここが知りたい
産褥期は無理せず過ごすことが大切なのはわかりましたが体や心の変化も大きい時期ですし、慣れない育児も重なりわからないことがあると不安になってしまうこともあるのではないでしょうか?
そこで、多くの方が産褥期に不安に思うことや知りたいと思うことをまとめてみました。
貧血予防のために食事に気を付ける
妊娠中も貧血になりやすいのですが、出産後も授乳のため貧血になりやすい状態は続きます。
しかも妊娠中の貧血が改善されないまま出産した方はさらに貧血がひどくなることがあるため注意が必要です。
貧血を予防するためには食生活が重要です。鉄分の豊富な食材を多く取り入れましょう。
鉄分が多く含まれている食べ物は、レバーやホウレン草のほかにもたくさんあります。
食品に含まれる鉄分には、吸収率の良いもの(ヘム鉄:肉類や魚介類に含まれる)とあまり良くないもの(非ヘム鉄:乳製品や青菜に含まれる)があります。
鉄分は良質な動物性たんぱく質やビタミンCと一緒に食べると吸収率が高まるといわれています。
日々の食事の中で、できるだけ鉄分の多い食品を取り入れましょう。
引用元:東京都病院経営本部
また鉄分以外にも、鉄の吸収に必要なビタミンなども積極的に摂取するようにしてください。
ビタミンCは、食品中の鉄が体で利用されるためになくてはならないものです。
ビタミンCを多く含む新鮮な野菜や果物を一緒に食べることによって、非ヘム鉄の吸収率を高めることができます。
ビタミンB12と葉酸は、正常な赤血球を作るために必要な栄養素です。ビタミンB12を多く含む食品 ・・・ 牛レバー、豚レバー、魚介類、貝類、卵黄、チーズなど
葉酸を多く含む食品 ・・・ 牛レバー、豚レバー、卵黄、大豆、納豆、ほうれん草、ブロッコリーなど
引用元:東京都病院経営本部
貧血について詳しくはコチラの記事をどうぞ。
産後の悪露は6週間でなくなる
産後、悪露がなかなか止まらずに不安に思う方もいるのではないでしょうか?
悪露とは胎盤がはがれた部分からの出血に膣などからの分泌物が混じって排出されるものです。
悪露の量は時間とともに減っていく
個人差はありますが、悪露は最初は赤色ですが、だんだん茶褐色になり量も減っていきます。
産後2週間くらいからは黄褐色になり、だんだん白色に変化していきます。
そして多くの場合6週間ほどで止まります。
悪露がなくなったということは、子宮の状態も元に戻ったということです。
産後すぐに動き過ぎると悪路が長引く可能性も
しかし産後すぐに動きすぎてしまうと子宮の回復が遅れて悪露が長引くことがあります。
もし悪露が2か月以上続くことがあれば医師に相談してくださいね。
また一度悪露の色が黄色や白に変化したにもかかわらず再び赤い悪露に戻った場合は感染症の心配もあるためこの場合も受診してみてくださいね。
尿漏れは骨盤底筋のゆるみによるもの
出産後に尿漏れに悩む方も多いようです。
出産後に起こる尿漏れはほとんどの場合、腹圧性失禁という腹圧がかかったときに起こる尿漏れです。
これは出産で骨盤の底部にある筋肉が緩んでしまうことにより起こります。
骨盤底筋を鍛えたり産婦人科で薬をもらったりすることで治るので、尿漏れが気になる方は参考にしてくださいね。
骨盤底筋のトレーニングに関しては、以下の記事を参考にしてみてくださいね。
手足のしびれや脱力感は妊娠中の高血圧の名残かも
産褥期に手足のしびれや脱力感を感じる方がいます。
これは手根管症候群と呼ばれる症状です。
腕を通る正中神経がむくみなどにより刺激されしびれを感じるのです。
しびれ・脱力感は妊娠高血圧症になった方に起こりやすい
産褥期のしびれ・脱力感は病院で治療してもらうと症状が治まることもあります。
授乳中のホルモンが原因の場合もあり、その場合は授乳が終わると自然と症状が治まることが多いです。
症状が長引いたら病院へ
また出産後は赤ちゃんを抱っこするなど腕を使うことが多くなります。そのため腱鞘炎にかかることも。
しびれや痛みが続く場合は、整形外科を受診してみてくださいね。
会陰の傷の痛みが軽くならないときは炎症を起こしていることも
出産の際の会陰切開の痛みはしばらく続くことがあります。
傷が座面に触れないようにドーナツ型の座布団などを使うと楽に座ることができますよ。
退院後1週間以上たっても痛みが引かない場合は傷が炎症を起こしている可能性があります。
その場合は受診しましょう。
恥骨が痛いのは、骨盤が元に戻るため
出産で骨盤がゆるみ、それが元に戻るまで恥骨が痛むことがあります。
時には恥骨の結合部が開いてしまい、その場合は強い痛みを生じます。
骨盤ベルトなどで固定することで少し痛みが改善することがあります。
マタニティーブルーはホルモンバランスの変化で起こる
出産直後特有のうつ状態をマタニティーブルーと言います。
マタニティーブルーは母親の半数以上が経験するといわれています。
マタニティブルーの期間・症状は?
出産後3日目くらいから見られ、1~2週間続きます。
わけもなく涙が出たり、イライラしたり不安になったりします。
これは出産によるホルモンバランスの急激な変化が原因と言われています。
ほとんどが一過性のものですが、まれに症状が長引くことがあります。
そうならないためにも産褥期は無理せずゆっくり休むことが大切です。
マタニティーブルーに関しては、以下の記事も参考にしてみてくださいね。
疑問を解消して産褥期を乗り切ろう
妊娠出産が初めての方にとって、産褥期の過ごし方はわからないことだらけで不安が募りますよね?
でも疑問に思っていたことが解消できると少し不安も和らぐのではないでしょうか?
赤ちゃんとの生活を楽しみつつ、無理はしないようにゆったり過ごして産褥期を乗り切ってくださいね。