2017.02.24更新 sorasora

子どもたちをとりまく教育環境の変化。昔の学校と今の学校の違い

子どもたちをとりまく教育環境の変化。昔の学校と今の学校の違い

今回は、「昔と今の学校教育の違い」をテーマに幼稚園(保育園)・小学校・中学校・高校の順に子供をとりまく環境を比べてみます。地域差もあるかもしれませんが、現在小さなお子さんがいる方は、大きくなったときの参考にしてみてくださいね。

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我が家には、高2の娘と中3の息子がいます。

子どもたちを、幼・小・中・高と通わせる中で、「え、昔と違う!?」と思うことが多々ありました。そこで今回は、昔と今の教育の違いを挙げてみたいと思います。

地域差もあるかもしれませんが、(筆者は札幌市に住んでいます。)
現在小さなお子さんがいる方は、お子さんが大きくなったときの参考にしてみてくださいね。

幼稚園のここが違う!

まずは、幼稚園の今と昔を比べてみましょう。

昔は近所の幼稚園に通うことがほとんど

落ち葉の上を歩く男の子

私が幼かった頃は、近所の幼稚園に行くことがほとんどで、送迎バスが無い幼稚園もありました。幼稚園ごとのカリキュラムの違いもそれほどなかったように思います。

私が通っていた幼稚園は、家のすぐ近くでした。送迎バスがないため、子どもたちはみな徒歩で通園していました。しかも保護者の送迎がない子どもも多く、かなり遠くからくる子も、1人で歩いて通っていました。今では考えられないですよね。

多彩なプログラムがある今の幼稚園

頭に花飾りを付ける女の子

今は、幼稚園ごとに多種多様なカリキュラムがあり、そのカリキュラムで幼稚園を選択する方も多いですよね。そのため遠くから通うことも珍しくありません。

最近では、子供の送迎が当たり前になってきて、送迎バスはどこの幼稚園にもたいてい完備されているのではないでしょうか?

また幼保一体型※と呼ばれる幼稚園が増えてきており、預かり保育が充実しているところも増えてきています。以前は働くママはそれほど多くはありませんでしたが、最近は働くママが増えてきているためです。

幼保一体型施設
保育所と幼稚園の一元化を目指す日本政府の政策によってできた施設で、幼稚園と保育園の違いをなくし、高水準の幼児教育と保育をすべての子どもたちに提供できるように目指す試みです。その他にも、近年増加傾向にある共働きの家庭でも、安心して子育てができるよう養育支援の充実などの目的もあります。ライフスタイルの多様化に合わせて、新しい形の育児環境の整備が必要とされています。
参考:幼保一元化|Wikipedia

このように、今はママのニーズや子どもの性格などに合わせて、幼稚園を選ぶことができます。また少子化のためか、先生方の面倒見も昔よりもいいような気がします。

半面、子どもの自主性や自立心は昔よりは育たなくなっているかもしれませんね。少子化により、子ども一人一人に親の目が行き届きやすいことや、昔に比べて心配な事件が増えているといったことも理由なのかもしれません。

小学校のここが違う!

学校にあがると、幼稚園以上にその違いが顕著になります。学習指導要領が数年ごとに改訂されていますし、週5日制が導入されたりもしているので違うのは当然なのですが、それだけではない違いも目立ちます。

教科の違い

勉強をする人

まず大きく違うのが、教科の違いです。

生活科・総合的な学習の時間ができた

私たちの頃は、小1の頃から国・算・社・理の主要4教科がありました。

しかし今は、社会と理科が小2まで「生活科となっており、全学年で「総合的な学習の時間というものが取り入れられています。「総合的な学習の時間」は、中・高でも取り入れられています。

生活科

社会と理科を廃して設置されたため、この両者を統合して授業を行うものであると考えられがちであるが、実際は別の教科である。内容のほとんどが体験的な活動を重視しており、特に体系化された内容は含まれない。
小学校1・2年では、まだ自己中心性が強く、自分の周囲で起きた現象を、自然現象か、社会現象かを識別する能力に乏しいとするのも、生活科創設の目的である。
引用元:生活 (教科)|Wikipedia

総合的な学習の時間

総合的な学習の時間は、変化の激しい社会に対応して、自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育てることなどをねらいとすることから、思考力・判断力・表現力等が求められる「知識基盤社会」の時代においてますます重要な役割を果たすものである。
引用元:総合的な学習の時間|文部科学省

パソコンに触れる機会が増えた

パソコンやスマホが身近になり、授業の中でパソコンに触れる機会も多いですね。

うちの子どもたちの学校では、調べ学習の中でよくパソコンを使った検索をしていました。「総合的な学習」の一環として取り入れている学校もあるようです。

子供たちがパソコンやスマホに触れる機会が増えたため、情報モラルについて、授業の中で触れることも増えているようです。

英語の時間がある

英語に触れる機会も増えています。子どもたちの学校では、外国人の先生が定期的に来てくれて、英語のゲームなどを楽しんでいたようです。

娘の頃よりも、息子の頃のほうがより英語の時間が増えていました。今後は学習指導要領の改定により、本格的に教科として取り入れられるようですね。

授業のやり方の違い

黒板にチョークで書く男の子

授業のやり方にも違いがあります。

自主性を重んじる授業

私は大学生の頃、小学校の教育実習に行ったことがあります。この頃はゆとり教育の時代で、「生きる力」が重視されていました。

そのため授業は「子どもたちが受け身な授業ではなく、子どもたちから発信できる授業を作りなさい」と指導されました。最近頻繁に言われている「アクティブラーニング」のはしりですね。

私の子どもたちは、すでにゆとり教育からは転換していましたが、授業のやり方はこども主体のものでした。子どもたちが調べたり、考えたりする時間が授業の大半を占めていました。

これは、子どもたちが自分から考えたり行動したりという、「自主性」を大切にしているためです。そのためか、昔の子どもたちに比べると、自分の意見を発表することが上手な子が多かったように思います。

授業時数が多い

私たちの頃とは違い週5日制が導入されていますが、ゆとり教育からは転換されているためその分1日の授業時数が多くなっています。週当たりの5時間授業や6時間授業の回数が増えています。

危険なことはさせない

体育の授業で特に感じることですが、授業のなかで危険を伴うことが少なくなりました。

例えば、ドッチボールはドッチボール専用のやわらかいボールで行われます。

私が子どもの頃は、ほとんどの場合かたいボールが使われていました。子どもの頃、ドッチボールが嫌いだったという方も多いのでは?私もドッチボールはどちらかというと苦手でした。

しかし現在は柔らかいボールで行われるため、ドッチボールが嫌いな子は少ないようです。娘は体育が得意な方ではありませんが、ドッチボールは大好きでした。

運動会も安全性を優先するようになった

運動会も昔とは様変わりしていますね。

まず、騎馬戦のような危険を伴う競技をやらない学校が増えています。うちの子どもたちの学校は騎馬戦を行っていましたが、先生方が落ちてきた子どもを受け止められるよう、馬の後ろに待機していました。

一方で、組体操は昔よりも危険度が増している学校も一部あるようですが…。

学校によっても取り組み方に差はありますが、どの学校でも授業の中で不要なけががないように、注意を払っていることがほとんどです。

昔よりも性差を意識させず、個性を尊重する

男の子と女の子

出席番号が男女混合だったり、先生が子どもの名前を呼ぶときに皆一様に「さん」付けで呼んだりと、男女平等が意識されていると感じる場面が多々あります。

また子ども同士がお互いの違いに寛容になってきていると感じました。

例えば、うちの子どもが通っていた小学校にはハーフのお子さんが何人かいました。
私たちの時代だと、残念なことにからかいの的になることもありましたが、子どもたちの学校ではそのようなことはほとんどありませんでした。

これは、子どもたちのランドセルの色にも表れていますね。私が子どもの頃は、暗黙の了解で、女の子は赤、男の子は黒でしたが、今では皆好きな色のランドセルを背負って通学します。

私が小学生の頃よりも、個性が尊重されていると感じる場面が多く、これが違いに対する寛容さを生み出しているのかもしれません。

中学校のここが違う!

中学校は私立の中学校に行く子もいるため、小学校よりもさらに学校ごとの違いが大きいかもしれませんね。
うちの子どもたちは公立の中学校に通っていたので、公立の中学校で感じた違いについてご紹介します。

今の評価は絶対評価

テスト用紙

私たちの頃との一番の違いは、学習評価の仕方ではないでしょうか?

私たちの頃は、成績をつけるとき、「相対評価」でつけられることがほとんどでした。しかし今はほとんどの学校で、「絶対評価」が取り入れられています。

学校や先生が示した基準をどの程度クリアしたかで成績がつくのですが、評価の基準があいまいに感じることも多く、「成績に納得いかない」という事態が発生することも。

我が家の場合は、総じて娘のほうが甘くつけられていたように感じます。絶対評価は、テストの点数以外の部分も評価に大きく関わるため、子どもの学校では、女の子の方が良い成績が取りやすいという噂が流れていました。

相対評価から絶対評価になった理由

以下は、文部科学省のWEBページにある、子どもの評価が「相対評価」から「絶対評価」に変わった理由の抜粋です。

Q 子どもの評価が「相対評価」から「絶対評価」に変わったと聞きましたが、どう変わったのですか、また、その理由は何ですか。

A  新学習指導要領においては、基礎的・基本的な内容を確実に身に付けさせ、自ら学び自ら考える力などの「生きる力」を育成することを重視していることから、
(中略)
「集団に準拠した評価」(いわゆる相対評価)から、「目標に準拠した評価」(いわゆる絶対評価)に改めたところです。
引用元:良くある質問|文部科学省

要約すると、「自主性や個性を重視」する学習の成果を、正しく評価するために「集団と比べて優劣を付ける方法(相対評価)」ではなく「個人が目標をどれだけ達成できたか(絶対評価)」が採用されたということでしょうか。

評価の方法が変わったのは、根本の学習が変わったからと言えます。

今の中学校は校則が昔と比べてゆるい

ノートを抱く少女

これは学校差や地域差も大きいとは思いますが、私が通っていた中学校は校則がとても厳しかったです。
持ち物はすべて決められていましたし、コートの色なども指定されていました。
また周囲の中学校も、校則の厳しい学校が多かったように思います。

子どもたちの中学校は、持ち物などはほぼ自由です。
制服の着方に関しても、それほどうるさく言われることはありません。昔よく見た理不尽な校則もありません。
色とりどりのカバンをもって学校に通う子どもたちを見ていると、うらやましく感じます。

「個性を尊重する」という風潮から、このような傾向にあるのかもしれませんね。

授業のやり方や内容が違う

テキストを読む人

小学校と同様、私が中学生の頃とは授業の内容ややり方にも違いがあります。

体育は男女平等に

体育では、女子も柔道の授業があったり、男子もダンスの授業があったりなど、男女平等が意識されていると感じます。

パソコンに触れる機会が多い

中学校でも小学校同様パソコンに触れる機会が多く、技術の授業の中で、パソコンの使い方を習います。

また子どもたちの学校では委員会活動で作成するプリント類も、すべて学校のパソコンを使って作成していました。

息子が体育委員長だったのですが、前の委員長からパソコンのUSBメモリーを引き継ぎ、それをもとにプリントを作成していました。便利な時代になりましたね。

英語はコミュニケーション重視

英語の授業では私の頃よりもコミュニケーションが重視されており、外国人の先生との授業が定期的におこなわれています。

部活動の種類が昔よりも少ない

テニスコートを転がるテニスボール

少子化の影響もあり、部活動の種類が少なくなっており、部活動に入らない子も増えています。
またサッカーや野球などは、昔は部活動で行うのが当たり前でしたが、今ではたとえ学校の部活動にあったとしても、クラブチームを選ぶという子も多いです。

うちは、娘は吹奏楽部に入っていましたが、息子は習い事が忙しく部活には入りませんでした。部活に入っていないことで困ったことになるということは、特にありませんでした。

高校のここが違う!

プログラミング学習

高校は義務教育ではないため、学校ごとの違いがかなり大きいのですが、どの高校も共通するのが、小学校・中学校同様授業の内容や、やり方の違いです。

その中でも昔と大きく違うと感じたのが、以下の教科です。

英語はコミュニケーションが中心に

中学校同様以前のような文法中心ではなく、コミュニケーション中心の英語に転換してきているようです。

娘の学校では、英語を使って自分の意見を述べたり、外国人の先生と会話をするテストなどもあるそうです。

家庭科は男子も一緒に

私の頃は、男子は家庭科をしていませんでした。今は女子と一緒に調理実習などをするそうです。

「男子が使えなさ過ぎてウケる」とよく娘が言っていました。男子と一緒のグループで調理実習をするのは、なかなか新鮮で楽しいそうです。

情報の授業でパソコンを

私の時にはなかった情報の授業というものがあり、パソコンの使い方を学びます。娘は授業の中でパワーポイントで資料を作ったそうです。
学校により取り組み方は違います。

体育は男女一緒に

娘の学校では、女子と男子が一緒に体育の授業をします。授業内容は選択制で、時間ごとに好きな種目を選択しているようです。

私の頃は男子と女子はまったく別のカリキュラムでしたし、種目も皆同じものを取り組んでいました。

習い事も様変わり

人気の習い事も昔と今では様変わりしています。

私たちの頃は、習い事といえばピアノや習字、そろばんくらいでした。そもそも習い事をしている子自体がそんなに多くはなかったですよね。

しかし、今では習い事の種類も多いですし、ほとんどの子が何らかの習い事をしています。

定番は授業に役立つ習い事

ピアノを弾く赤ちゃん

私の子どもたちの周りでよく聞く習い事は、

  • 体操
  • 水泳
  • 英会話
  • ピアノ
  • 公文

などです。「授業中に困らないように」と始めさせることが多いようです。

そのため水泳や体操は、ある程度できるようになったら辞めるという子も多いです。

ダンスが授業に取り入れられるようになり、ダンスを習う子も増えました。
うちの子どもたちは授業に取り入れられる以前からダンスを習っていましたが、授業に取り入れられるようになってから、明らかに教室に通う子の数が増えています。

将来を見据えた習い事も

パソコンを前で喜ぶ男の子と女の子

日常生活のIT化により、最近はプログラミング教室なども人気を集めています。

将来の就職などを見据え、小さなうちからパソコンに親しませるだけではなく、プログラミングもできるようにしておこうと考えるママが増えているようですね。

また大きくなったらスポーツ選手にしたいとか、ピアニストにしたいなど、子どもに夢を託し、小さいうちから習い事を始めさせるママも多いようです。

昔と今の違いを楽しんで

Learning

私たちの時代と今の子どもたちの時代では、生活スタイルの違いはもちろん教育環境も様変わりしています。

私も最初は戸惑うことが多かったのですが、子どもたちが大きくなった今では「え、今ってそんななの?」と子どもたちと会話をしながら違いを楽しむようになりました。

教育に対する考え方も変化しており、「本当に大丈夫?」と時折不安になることもありますが、時代に合わせて親の考え方も柔軟に変化させる必要があるのかもしれませんね。

これからも、生活環境、教育環境ともにどんどん変化していくことが考えられます。

昔の考え方のいいところを残しつつ、その時その時の違いの変化を楽しんでみてくださいね。

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