2016.02.06更新 佳秀佳秀

妊娠中や産後の乳がん検診はいつから行っていい?X線を使わないやり方はあるの?

妊娠中や産後の乳がん検診はいつから行っていい?X線を使わないやり方はあるの?

妊娠中に乳がんが見つかった、産後に乳がんがみつかったという事例は、めったにありませんが、全くないわけではありません。
女性の多くが「乳がん検診は、産後いつから行っていいの?」「妊娠中に乳がん検診できるの?」といった疑問を持っているようです。出産前後の乳がん検診についてご紹介します。

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1. 妊娠したら、乳がん検診ができなくなるの?!

「乳がん検診は30歳代から始めるもの」というイメージを持つ女性が多いのですが、自治体などによる乳がん検診がおこなわれるのは、40歳代からがほとんど。
20~30歳代は、自己検診(セルフチェック)で良いとされています。

年齢階級別がん罹患率・乳房2008年

画像元:happybaton.com出典:国立がんセンターがん対策情報センター

これは統計だと30歳代から乳がんにかかる人が増加し、40歳代でピークを迎えるためですが、「30歳代になる前に、乳がんにかかる人は少ない」というだけで、「30歳代になる前に、乳がんにかかることはありえない」という意味ではありません。

若くても妊娠して乳がん検診

確率が少ないとはいえ、10歳代で乳がんが見つかる女性もいるのです。

ですから、乳房の自己検診や乳がん検診などは何歳からと言わず、若いうちから習慣づけたほうがよいのですが、妊娠前後の2年近く、検診が中断してしまうことがあります。

「妊娠してから赤ちゃんを産んで、おっぱいをあげている期間は、乳がん検診ができない」と思い込んでいる女性が多いからです。

実際には、妊娠中でも行える乳がん検診があります

「妊娠すると乳がん検診はできない」というイメージがありますが、まずは、かかりつけのお医者さまに相談してみましょう。

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2. 妊娠すると、マンモグラフィーができなくなる?!

乳がんに不安を感じる女性の大きな味方が、X線で乳房を撮影できるマンモグラフィー。

開発されたのは1930年代のアメリカですが、最初はうまく撮影できなかったので、開発をやめてしまおうという話もあったそうです。

1990年代になると、日本でもマンモグラフィーによる検診が普及し始めます。

乳がんができやすい箇所の図

画像元:blog.goo.ne.jp

視診や触診では発見できない、極小の乳がんを発見できる装置」というので、日本の女性たちにとっては衝撃のデビュー。たいへんな話題となりました。

ところが、マンモグラフィーのデビュー当初は、置いてある病院が少なすぎ。
マンモグラフィーの機械の値段が高価すぎて、購入できる病院がほとんどなかったのです。

何かのきっかけでマンモグラフィー検診を受けた女性は、「私はマンモグラフィーを受けたことがあるわよ」と人に自慢できるほどでした。

現在のように、全国どこでもマンモグラフィー検診が受けられるようになったのは、2000年代に入ってから。わりと最近のことなのです。

マンモグラフィー検診が受けられるようになったのは、2000年代に入ってから

妊婦さんにはマンモグラフィーを使えない

このマンモグラフィーはX線(放射線)を使うので、妊娠中の女性が使うことはできません。

「妊娠すると乳がん検診ができなくなる」というイメージが強いのは、妊娠するとマンモグラフィーが使えなくなるからです。

しかし、乳がん検診の方法はマンモグラフィーひとつきりではありません。

妊娠したからといって乳がん検診が中断したり、とぎれてしまうことはないのです。

3. 妊娠中に乳がん検診を受けてもいい?

「そろそろ乳がん検診の時期だわ」と思っていたら、妊娠していることがわかった。
乳がん検診はどうしたらいいの?

それで悩んで、乳がん検診に行かないことにしてしまう女性が多いそうです。

妊娠中にできない乳がん検診はマンモグラフィーだけ
他の乳がん検診はできますから、安心して検査を受けられます。

妊娠中に乳がん検診を受けてもいい?

妊娠中はマンモグラフィー以外にも検診方法がある

妊娠中に病院などで乳がん検診を行う場合、マンモグラフィー検診ではなく、触診やエコー(超音波検査)を行うことになります。

セルフチェックによる自己検診は、妊娠中でも行ってよいものです。

乳房の様子がいつもと違うと感じたら、妊娠や乳がん検診の時期にこだわらず、お医者さまに相談してみましょう。その時々の体調にふさわしい方法で診断してもらえます。

妊娠中や授乳中は乳腺が発達しているので、同じ検診をしても普段より痛く感じたり、病院のスタッフも撮影が難しかったり、いつもどおりとはいかない場合があるそうです。

ですがこういった場合、「万が一のことを考えると、なにも検査しないより検査した方が良い」と考えるお医者さまが多いそうです。

4. 産後、授乳中の乳がん検診は?

授乳中は特に乳腺が発達するので、乳房の検査がやりにくかったり、乳がん検診を受けてもうまく撮影できなかったりします。

ですから、無理に乳がん検診をやらなくてもよいのでは、と考えるお医者さまと、念のためやった方が良いと考えるお医者さまと、だいたい半々だそうです。

母乳や乳房に異常があればお医者さまに相談する

しかし、母乳に血液が混ざっている、以前なかったしこりを見つけたなど、なにかいつもと違うことを見つけたら、授乳中であってもなくても、迷わずお医者さまに相談しましょう。

「授乳中は検査しにくいというから、相談するのは後日にしましょう」と自分で判断してしまうのは、よくありません。

まず病院に連絡して、どうするかはお医者さまに判断していただきましょう。

異常がなければ、乳がん検診は基本的に卒乳後でよいとされています。

ただし、自分の妊娠・出産の経過を知っているのは主治医です。

産後の乳がん検診をいつどんな風に行えばよいか、主治医にタイミングを相談するのがなによりではないでしょうか。

5. 妊娠中や産後でも、エコーをやってよい理由は?

エコー検診がokな理由は?

画像元:breast-up.net

マンモグラフィーもエコーも機械を使って行う検診なのに、妊娠中だとマンモグラフィーは不可。エコーだけが可能となります。

これは、それぞれの機械の仕組みが全く違うからです。

まず、マンモグラフィーはX線(放射線)を使って乳房を撮影する機械です。

「マンモグラフィーで検査します」と言われたら、「X線を使って乳房を撮影します」と言われたのと同じ意味になります。

妊婦さんがX線を浴びるのは、胎児への悪影響が心配されるので避けなければなりません。

エコー検査は音を使った検診方法なので安心して使える

一方、エコーは「超音波」という特別な音を対象物にあてて、音が反射した様子を画像化する医療機器です。

超音波は犬や猫には聞こえますが、人間の耳に聞こえない特別な音のこと。

エコーは有害な放射線ではなく「音」を身体にあてるので、妊娠中や産後でも安心して使えるのです。

6. 乳がん検診は怖いので、いつも行きたくない・・・

妊娠中でも、そうでなくても、乳がん検診に行かない。という女性もいます。

その理由の多くは「ガンが見つかると怖いから」です。

全く同じ理由で、男性でもガン検診に行かない人がいます。強い男性でも怖がるくらい、ガンは怖い病気なのです。

でも本当は、乳がん検診に行かないで、乳がんに気づかないまま過ごしているほうが、ずっと怖いことになります。

現代医療は妊娠中でもがん治療ができる!

乳がんの治療は日々進化しており、最近では妊娠中でも手術をしたり、抗がん剤治療を行うことができるそうです。

どんな手術をどんな風にするか、選択肢も増えています。

乳がんは早期発見が最善の治療方法

乳がんの一番の対策は「早く見つけること」

早く見つければ治療が簡単に早く済みます。

乳がんを含め、病気の多くは早く見つければ治療が簡単に早く済みます。

見つかるのが遅いと、治療に時間がかかるし、やり方も複雑になり大きな負担になります。

乳がん検診にいかないと「もしかしたら乳がんかも」と、ずっと心配していなければなりません。

乳がんがないと確認できれば、毎日ずっと安心です。

健康診断は、自分の健康を確認して、安心して過ごすためのものです。

妊娠している時にも、していない時にも、乳がん検診に行きましょう。

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